根未完成歯とは?
歯が生えてきた時点では根尖はまだ完成しておらず、漏斗状に開いており、歯が生えてから約2〜3年程かけて徐々に根尖が完成されていきます。歯根が完成していない歯を、根未完成歯といいます。
根未完成歯の問題点1
歯根が未完成の歯は根管壁が薄くなり、将来的な歯頸部での破折や、歯根破折のリスクが高まる。
根未完成歯の問題点2
根尖が漏斗状に開いていると根管充填が困難になる
根未完成歯の治療法
1 アペキソゲネーシス(歯髄が生きているケース)
生活歯髄断髄を行います。露髄面にMTAを充填します。根尖が閉鎖された時点で、改めて抜髄および根管充填を行うことが推奨されます。
2 アペキシフィケーション(歯髄が死んでいるケース)
最低1年程、水酸化カルシウムの貼薬繰り返します。骨様象牙質や骨様セメント質により根尖を閉鎖します。
薄い歯根象牙質に対してファイルなどのインスツルメンテーションによる障害、長期の水酸化カルシウム暴露による象牙質の機械的強度低下が懸念される。根の成長は継続せず根管壁は短く薄いままで根管の強度に不安が残るなど問題が多い。根尖が閉鎖された時点で、改めて抜髄および根管充填を行うことが推奨されます。
3 パルプリバスクライゼ―ション(歯髄が死んでいるケース)
パルプリバスクライゼ―ションは歯髄の再生療法である。
歯髄や歯根膜に存在する幹細胞は血管に富んだ結合組織を作る能力が高く、それらにより象牙質や歯髄を再生することを目的とする。歯根の完成と生活歯として生存することが期待できる。
プロトコール
1st appointment
- 浸潤麻酔(血管収縮効果のあるもの)を行いラバーダム防湿し髄腔開拡
- 根管壁を触れないよう 20ml の 1.5%NaOCl を用いて根管洗浄後、さらに生理食塩水を用いて洗浄。
- 根管乾燥し水酸化カルシウムを貼薬、グラスアイオノマーセメントにて仮封。
2nd appointment:症状の消退を確認。
- 浸潤麻酔(血管収縮効果のないもの)
- ラバーダム防湿し貼薬剤除去後 20ml の 17%EDTA を用いて根管洗浄、根管乾燥を行う。その後根尖部をオーバーインスツルメンテーションし根管内に血餅をセメントエナメル境まで誘導。
- 3〜4mm の厚みで ProRootMTAを充填
- 水硬性セメントとグラスアイオノマーセメントで 2 重仮封。
参考文献
ScientificWorldJournal. 2014; 2014: 737503.
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