病巣感染とは
身体の一部に慢性の炎症巣(原病巣)があり,それ自体の症状は軽いけれども,これが原因となって他の臓器に二次的な病変を作ることを病巣感染といいます。
慢性歯性感染症と全身疾患の関係として、糖尿病,誤嚥性肺炎,早産・低体重児出産,骨粗鬆症,心血管系疾患,脳血管障害,腎炎,関節リウマチなど数多くの疾患が報告されています。
慢性歯性感染症による病巣感染のメカニズムは5つに分類できる
①口腔内細菌の直接的な管内性の移行で他部位へ影響を及ぼす
②細菌が血管内に侵入し,遠隔臓器で増殖する
③細菌性の為害物質(例えば,LPS)が血中に入り,遠隔臓器に悪影響を及ぼす
④細菌のLPSに対する抗体産生の誘導と,Ⅲ型アレルギー(免疫複合型アレルギー)を起こ
す(例えば,腎臓が機能不全に陥るようなこと)
⑤歯性病巣感染部で産生されたサイトカインやケミカルメディエーターが血中に移行し,他臓器に影響を及ぼす
また、歯性感染症により持続的に作られた毒素は、体のほかの部分の酸化ストレスを増加します。酸化ストレスは細胞や組織を傷害し、様々な疾患の一因となります。
根管治療と病巣感染
既に、慢性歯周炎の病原体が、様々な全身疾患の原因となっていることは立証されており、それらの病原体は、根尖性歯周炎の歯にも発見されている事から、慢性根尖性歯周炎が心疾患、がん等の直接的原因、あるいは憎悪因子になっていることが強く示唆されます。
参考
口腔感染症の脅威
Thomas E. Levy 著
大島晃 監訳
大島晃 監訳
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